リラの読書日記♪
★★★★☆(4.5/5)
あらすじ
「母さん死ぬな―」へなちょこ25歳がいざ一念発起!?
崩壊しかかった家族の再生と「カッコ悪すぎな俺」の成長を描く、勇気と希望の結晶。
逆境スタートの華麗なる変身劇!! やり甲斐とか、本当にやりたい仕事とか、言ってる場合じゃないし!!
自尊心ばかり高くて、怠惰でへたれな主人公が、ある出来事をきっかけに、立ち上がる。仕事を探して、働いて金を貯めるぞ。病気の母を助けるため、奮闘開始だ!!
父=商社勤務「経理の鬼」
母=重度の鬱病に罹る
姉=名古屋の病院に嫁ぐ
俺=二流大卒、入社3ヶ月で退社 (紹介文より)
〜感想〜
嵐の二宮くんが主演で、TVドラマにもなった本作ですが、ブームは下火になったようで(笑)、図書館でやっと借りることができました
TVのほうは観てないので、二宮くんがフリーターで、家を買うんだな、とタイトルまんまの話を想像してましたが、いざ読んでみると確かに家は買うけれど、そこに至るまでの話は結構シリアス
主人公の武(たけ)誠治はそこそこに名前が知られている大学を卒業し、これまたそこそこにいい会社に就職したものの、宗教色の強い研修にドン引きし、研修終了後にも会社になじめず「要領の悪いやつ」 というレッテルをはられてしまいます。
結局、三ヶ月で会社を辞めるのだけど、世間は誠治が思うほど甘くなく、次の就職がなかなか決まりません。 そのうちに、とりあえずバイトで食費を稼いで家に入れるようになるのだけど、そうなると逆にフリーターの気楽さに慣れて、就職活動にも身が入らなくなってしまいます。
以前は両親と一緒に食事をしていたのに、父親から説教されるのが嫌で、だんだんと自分の部屋で食事をするようになるのだけど、ある日、いつものように母親が部屋の前に置いてった食事がカップ麺に
就職活動に身が入らなくなった自分に対する当てつけなのかと、面白くない誠治だったのだけど、三食続いたところで我慢ができずに、母親に文句を言うために部屋を出ると……そこにいたのは結婚して家を出たはずの姉の亜矢子。
なぜ亜矢子がいるのか、不思議に思う誠治だったのだけど、母親が重度の鬱病になっているということを聞かされて……。
今まで何も気づかなかったことにショックを受ける誠治だったのだけど、亜矢子はさらにショッキングなことを話始めます。
今の家に引っ越してきてから二十年の間、町内の住人たちからずっと嫌がらせを受けていたこと、飼っていた猫を傷つけられたり、誠治と亜矢子の子供の頃にも嫌がらせをされていたことを聞かされて……
幸いにも(?)鈍い誠治は全く気づかずに今まで成長していただけに、寝耳に水の話にただただ驚くばかり。
姉の亜矢子はすぐに気づいていたということなのだけど、なら何故自分にも打ち明けてくれなかったのか、と聞く誠治に母親が 「せっかく気づいてないんだから、このままにしておいてほしい」 と母親に止められていたことを教えられます。
自分の知らないところで母親が苦しんでいたこと、それでも家族のために耐えていたこと、誠治を守ってくれていたこと、でも、とうとう限界を越えてしまい、重度の鬱病になってしまったこと、そういった事実を一気に知らされた誠治は途方にくれます。
そうして誠治の母親を治すための奮闘が始まるのだけど……。
これが並大抵の苦労じゃありません!
当たり前といえば当たり前なんですが、頼りになるはずの父親がこれまた困った人で…… 母親のことを 「心が弱いからそうなるんだ」 なんて心ない言葉を平気で口にしたりします。
もっとも、父親自身も妻がそんな状態になったことに対してショックを受けていて、せめてもの虚勢だったようなのだけど、誠治にしてみれば 「なんてことを言うんだ、このクソ親父」(笑) って感じですね
誠治自身の就活がうまくいかなかったことも原因の1つだったことから、反省して気持ちを新たにとにかく何とか就職を決めよう! と頑張り始めるのだけど、やっぱりそうそう簡単には決まりません。
母親の病気の原因が二十年()にわたる町内からの虐めなので、本当に完治させようとするならば今の家から引っ越しすることが最善の方法ではあるのだけれど、これまた簡単に次の家を購入する、というわけにはいきません。
父親は自分の趣味にはお金をかけるくせに、母親の病気を治すためにお金を出そうという気にはならないようで……
それなら、自分がなんとかしてやる
と一大決心して、とりあえず夜間の土木工事のアルバイトでまずは100万円をためようと目標を決めます。
そうして始めた夜間のきついアルバイトだったのだけど、意外にも誠治はやめることなく頑張ります。
そうして一生懸命働く姿に、仕事仲間のおじさんたちも何かと声をかけてくれるようになります。 誠治も最初はおじさんたちにたいして侮る気持ちを持っていたのだけど、そんな気持ちもすっかりなくなって母親のことを打ち明けて父親の困った態度について相談したりするようになります。 すると、やはり年の功というのか自分では思いもつかない答えを返してくれて、どうしようもない父親だと思っていたけれど、父親なりに辛い思いをしてることがわかってきます。
そうなると、一方的に父親を責める気持ちもなくなってきて、少しずつ自分のほうから父親に歩み寄るように。 父親はそれなりの会社に勤めていて "経理の鬼" という異名まで持っている仕事ではなかなかのやり手。
そこで誠治は父親に就活のアドバイスを求めることにします。
すると、やはり社会人として長年働いている人生の先輩なだけあって、一つ一つが的を射ていて……。 最初は、「相談してあげてる」 つもりだった誠治だったのだけど、相談が終わる頃にはすっかり父親を見直すことに(笑)
いざというときには、父親の紹介で就職することもできるのだけど、そこまではまだ甘えたくないということもあって、とりあえずアドバイスに従って夜間のアルバイトを続けながら、改めて就活に力を入れることになります。 そうこうするうちに、目標の100万はとっっくにたまり、さらに夜間のアルバイトでの真面目な仕事ぶりが認められ、正社員にならないか、という嬉しい誘いが
同時期に就活のほうでも、望んでいた職種ではダメだったものの、別の部署ではどうかというこれまたありがたい申し出が どちらを選ぶべきか悩む誠治だったのだけど、父親にも相談しながら "家を買う" という最終的な目標をかなえる条件を満たしているほう、ということで夜間のアルバイトをしていた会社を選びます。
ここからレベルアップ(笑)した誠治の、今まで以上の活躍が始まります。
ここまでくると、最初の頃のダレた誠治の姿はどこへやら
責任感があってやる気があって頼りがいのある、"デキるヤツ" に生まれ変わった眩しい(笑)誠治の姿にほれぼれ
最初の頃のまったく頼りにならなかった誠治が、母親のことを思って一生懸命頑張って確実に成長していく姿と、家族としての絆を取り戻していく様子が感動的でした 清々しい気持ちになって、自分も頑張ろう、そう思わせてくれる素敵な話でした♪
0 コメント:
コメントを投稿